エクスプレスの財産相談室 エクスプレス・タックス株式会社
Q.離婚して、慰謝料として共有自宅マンションの持分を妻に渡すことになりました。税金は関係しますか?
(千葉県の男性から平成12年3月のご相談)
| 私は、来月妻と離婚することになりました。これで新しい人生にスタートします。 現在妻と共有で私が4/5、妻が1/5を持つマンションに住んでいますが、慰謝料としてその4/5を妻に渡して、自分は別居するつもりです。 マンションは15年前に2千万円で購入し、現在なら3千万円の価値があるようです。ローンは完済してあります。 財産分与に当たって、税金は関係しますか? |
エクスプレスのご回答
A.
マンションは原価1600万円のマンション(実際は建物部分の減価償却を考慮します。)を2400万円で相手方に譲渡したと取り扱われます。
800万円に対して譲渡税が生じますが、あなたは別居をなさるのですから、3千万円の居住用財産の譲渡の特別控除等の非課税規定が使えますから結果的に、課税なく分与できるでしょう。
ただし、この特例は、確定申告が条件ですから、分与年の翌年3月15日までに、必ず特例適用の確定申告をして下さい。
★★ここで離婚の税金について簡単に触れましょう。★★
離婚については、日本は夫婦別産制の考え方をとっています。夫の形成した財産は夫のもの、妻の形成した財産は、妻のもの、それぞれの財産権はその名義に属す、という考え方です。
一方、配偶者の経済貢献度などを重視する考え方からは、無職の配偶者の財産形成権を主張する見方もあり、今後とも検討される内容です。
つまり、離婚時には全て夫名義の預貯金・不動産などであっても、そのうちには、結婚後の妻の貢献による形成もあったのだから、「半分は私がもらう権利があるのよ、そこに税金がかかるなんて!」というわけです。
しかし、この考え方は現在の日本ではまだ取り入れられていません。意見の分かれるところです。
そこで、今一般的な解釈で説明しましょう。
離婚についての資産の授受には2種類あります。
現金又は現金等価物で支払われる場合と物品によって支払われる場合です。
(1)現金で支払われる場合
@有責配偶者からの慰謝料である場合
慰謝料として現金でお渡しになるのであれば、ご相談者が有責(離婚の原因者として責任がある)であれば、相手の苦痛に対する慰謝のための支出ですから、心身の損害に対する慰謝料として相手方は所得税が非課税です。
A親権者への養育費である場合
相手方がお子さまを引き取る場合の親権者として、養育費として渡される場合も、相手方に贈与税はかかりません。
B上記の理由ない金銭の支払い
贈与税が生じますが、これは偽装離婚などでない限り、現実的にはあまりあり得ないケースでしょう。
(2)物品で支払う(=財産分与)場合
その理由・根拠・名目の如何を問わず、その資産を引き渡したご本人に、譲渡所得課税が生じます。
これは相手方の財産分与請求権の消滅を対価とする譲渡である、と説明されています。
譲渡税は、値上がり益=(資産の時価−その資産の現在原価)に対して課税されます。
ただし、分与する資産がマイホームである場合には、分与者が居住していた財産を、他人となる相手方に渡すことになるので、居住用財産の3千万円の特別控除規定(措法35条)が適用できます。先ほどの値上がり益が3千万円まで非課税になります。
これは、離婚成立前の分与でOKです。
分与の内容等、離婚の際の協議書に明記して、それを原因証書として登記を行います。
2.ご相談者の場合は、共有で持っていたとのことですが、ご自身はそこから退去してしまうので、上記特例が使えます。
しかし、例えば、相手に分与したマイホームに、その後も住み続ける、ということになると上記特例は使えませんので、注意が必要です。
また、ローンが残っている場合、値下がり損が出る場合、など、マイホームの財産分与については、いくつか注意すべき点がありますが、複雑になりますので、また別な機会に説明を譲りましょう。
財産分与についての課税を知らなかったための裁判訴訟は多く、要素の錯誤事件など、有名な裁判も出ています。
解釈も分かれ、複雑な問題ですので、くれぐれも、専門家によく相談しながらすすめていくのがポイントです。
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